吹くからに秋の草木のしをるれば むべ山風を嵐といふらむ
現代語訳
吹くとすぐに秋の草木がしおれてしまう。なるほどそれで、山風のことを嵐というのだろう。
語釈
- 吹くからに
- 吹くとすぐに。
- しをる
- しおれる。草木が萎える。
- むべ
- なるほど。もっともなことだ。
- 嵐
- 「山」と「風」を上下に合わせると「嵐」の字になる。
背景と読みどころ
「山」と「風」で「嵐」という字ができている。その字の作りを、そのまま歌にした一首である。
漢字の組み立てを歌に持ち込むのは当時めずらしく、機知として面白がられた。意味を深く読むより、思いつきの鮮やかさを味わう歌である。
『古今和歌集』の秋の部に載る。
作者
文屋康秀。九世紀の歌人で、六歌仙の一人に数えられる。役人としての位は低く、伝記はほとんど分かっていない。