難波潟短き蘆のふしの間も 逢はでこの世を過ぐしてよとや
現代語訳
難波潟の蘆の、短い節と節のあいだほどのわずかな時さえ逢わないまま、この世を過ごせというのか。
語釈
- 難波潟
- 今の大阪湾の入り江。蘆の名所だった。
- ふしの間
- 蘆の節と節のあいだ。きわめて短いもののたとえ。
- この世
- 「世」に、蘆の「節」を意味する「よ」が重なる。
- とや
- 「〜というのか」。
背景と読みどころ
蘆の節と節のあいだほどのわずかな時間さえ逢えない、という言い方で、相手の冷たさを責めている。
「よ」に節と世が掛かるので、蘆の話がそのまま人生の話へ移っていく。
『新古今和歌集』の恋の部に載る。
作者
伊勢。九世紀後半から十世紀にかけての歌人。宇多天皇に仕え、皇子を産んだ。『古今和歌集』に採られた歌の数は、女性のなかでもっとも多い。