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陸奥みちのくのしのぶもぢずりたれゆゑに みだれそめにしわれならなくに

河原左大臣かわらのさだいじん  014

現代語訳

陸奥のしのぶもじずりの乱れ模様のように、私の心は乱れはじめた。誰のせいだろう。私のせいではないのに。

語釈

陸奥
今の東北地方。
しのぶもぢずり
陸奥の信夫の地で作られた、乱れ模様の摺り染めの布。
乱れそめにし
乱れはじめた。「初め」に布を「染め」る音も重なる。
我ならなくに
私のせいではないのに。

背景と読みどころ

初句と二句は「乱れ」を引き出すために置かれた序詞である。布の模様の乱れが、そのまま心の乱れに移る。

「そめ」に「初め」と「染め」が重なるので、布の話と心の話が切れずに続いていく。

『古今和歌集』の恋の部に載る。『伊勢物語』の初段では、この歌をふまえた歌が詠まれる。

作者

河原左大臣(八二二〜八九五)。源融。嵯峨天皇の皇子で、六条河原に広大な邸を構えたことからこう呼ばれる。