筑波嶺の峰より落つるみなの川 恋ぞつもりて淵となりぬる
現代語訳
筑波山の峰から落ちるみなの川が深い淵をつくるように、私の恋も積もり積もって淵のように深くなった。
語釈
- 筑波嶺
- 筑波山。今の茨城県にある。
- みなの川
- 筑波山を源とする川。男女川と書く。
- 淵
- 川の水が深くよどんだところ。
背景と読みどころ
山から落ちる細い流れが、集まって深い淵になる。その動きに、少しずつ積もっていった恋を重ねている。
筑波山は古くから男女の集まる場として知られ、川の名も男女川である。恋の歌にこの土地を選んだこと自体に意味がある。
『後撰和歌集』に、綏子内親王へ贈った歌として載る。
作者
陽成院(八六八〜九四九)。九歳で即位したが、十七歳で退位させられた。その後は六十年あまりを生き、歌を詠んで過ごしたと伝えられる。