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あまかぜ雲のかよきとぢよ をとめの姿すがたしばしとどめむ

僧正遍昭そうじょうへんじょう  012

現代語訳

空を吹く風よ、雲の中の通り道を吹き閉ざしてくれ。天へ帰る乙女の姿を、もう少しここに留めておきたい。

語釈

天つ風
空を吹く風。「つ」は「の」にあたる古い言い方。
雲の通ひ路
天と地を行き来する、雲のあいだの道。
吹きとぢよ
吹いて閉ざしてしまえ。
をとめ
天女。ここでは舞姫を天女に見立てている。
とどめむ
留めておきたい。「む」は意志を表す。
五節の舞
宮中の年中行事で舞われた舞。選ばれた娘たちが舞い手を務めた。

背景と読みどころ

宮中で行われた五節の舞を見て詠んだ歌。舞姫を天から降りてきた乙女に見立て、天へ帰る道を閉ざしてくれと風に呼びかける。

風に命じて雲の道をふさぐという大きな言い方をしておきながら、望んでいるのは「しばし」だけである。そのつり合わなさが、そのまま名残惜しさになっている。

出家する前の作とされる。

作者

僧正遍昭(八一六〜八九〇)。俗名は良岑宗貞。仕えていた仁明天皇の死をきっかけに出家した。六歌仙の一人。