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知的財産権

LINEの週刊誌流出は、プライバシーや著作権侵害になるか

LINEの週刊誌流出は、プライバシーや著作権侵害になるか

情報化社会によって、LINEやメールなどのメッセージで気軽にやりとりができるようになったことで、やりとりが逐一情報として残るようになりました。

これはプライバシーの問題としても、また監視社会の点から言っても、便利な一方で功罪ある状況と言ってもいいでしょう。

たとえば、近年では、不倫などの証拠として、LINEのメッセージ内容がスクショされ、週刊誌やツイッターに意図的に流出させる、ということがあります。

こうした行為は、そもそもプライバシーの侵害に当たらないのでしょうか。

まず、判例的に、「プライバシー侵害」の基準は、以下の四つと考えられています。

  1. 私生活上の事実、または私生活上の事実らしく受け取られるおそれのある事柄であること
  2. 一般人の感受性を基準として当事者の立場に立った場合、公開を欲しないであろうと認められるべき事柄であること
  3. 一般の人にまだ知られていない事柄であること
  4. このような公開によって当該私人が現実に不快や不安の念を覚えたこと

私生活上のことで、本人が公開されたくないもの、一般的に知られていないこと、そして、その公開によって不快や不安を覚えることを、公表した場合、「プライバシー侵害」に当たります。

この基準に照らし合わせてみれば、十分に「プライバシー侵害」と言えるでしょう。

その場合、民事上の損害賠償(慰謝料請求)や、差し止めの対象となる可能性があります。

合理的な理由がないのに、本人に無断でこういったプライバシーに関する事実を公表することは、不法行為(民法709条)として、民事上の損害賠償(慰謝料) 請求や差し止めの対象となる可能性があります。LINEの会話や写真も、プライバシーに関する情報が多く含まれていることから、こういったプライバシーに関する情報を公表した場合、プライバシー侵害にあたる可能性はあります。

ただ、慰謝料等の金額は、認められても数万円程度と相場は低いのが現状で、一般の方が裁判まで起こすケースはごく稀といえるでしょう。訴訟を起こすこと自体は当然できます。

出典 : LINEの会話・画像の流出はプライバシーの侵害にならないのか? 弁護士に聞いて

プライバシーの侵害として裁判を起こすことは可能ですが、認められても慰謝料の相場が数万円程度ということで、実際は裁判まで発展するケースはごく稀のようです。

もう一点、「名誉毀損」に該当する場合もあります。

名誉毀損と言うと、事実無根の嘘を公表し、他人の社会的な評価を下げようとする行為に思われるかもしれません。

しかし、実際は、事実であっても、その人の社会的評価を下げるようなことを不特定多数に公表すれば、名誉毀損に当たる可能性があります。

本当であっても、名誉毀損に当たる、というのは重要なポイントでしょう。

たとえば、「◯◯さんちの奥さん、××中学校の先生と浮気しているんだって」という内容をネットに書き込みした場合、仮にそれが真実であっても名誉毀損にあたる可能性があります。

LINEの会話や写真の公表も、その内容によっては、不倫をしているなどの不名誉な事実の公表に当たる可能性があります。

その場合も慰謝料や差し止めが請求できる可能性がありますが、訴訟を起こすことになるかどうかはプライバシー侵害のケースと同様です。

出典 : LINEの会話・画像の流出はプライバシーの侵害にならないのか? 弁護士に聞いて

この点から言えば、週刊誌の芸能人の不倫報道などは、完全に名誉毀損に当たるような気がします。

しかし、公務員や有名人、芸能人は、ある程度「知られること」が前提となっているので、一般の方々とは違った視点が必要となります。

有名税という言葉もありますが、芸能人の不倫問題も、本来ならプライバシーの侵害や名誉毀損であったとしても、有名人であるがゆえに、ある程度は受け入れなければいけない、という状況のようです。

芸能人のLINEの情報については、当然、芸能人であっても純粋なプライバシーや名誉は守られるべきですから、これをむやみやたらに流出された場合、プライバシー侵害や、名誉棄損にあたる可能性もあるといえます。

しかし、芸能人という職業柄、例えば不倫をしたという事実については、これをスクープされるのはいわば当然で、自業自得、ともいえます。

報道の自由や、報道内容の価値が尊重される結果、不倫している事実がわかるようなLINE情報は、この内容が真実であった場合には、流出しても基本的には「違法」という評価にはならないでしょう。

この意味では、芸能人は、一定程度プライバシーが制限されるという表現ができると思います。

出典 : LINEの会話・画像の流出はプライバシーの侵害にならないのか? 弁護士に聞いて

また、仮に裁判に発展するとしても、不倫なら不倫の問題を、裁判でさらに詰めることになり、裁判沙汰になることでいっそう知られることにもなることから、訴訟問題まで発展しないことが多いようです。

最後に、プライバシーや名誉毀損以外に、著作権についても軽く触れておきたいと思います。

手紙やLINE、メールのメッセージも、思想又は感情を創作的に表現したものであって、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するものであれば、れっきとした著作物です。

そのため、たとえばSNS上などで勝手に公開した場合、厳密に言えば、著作権侵害に該当します。

ただし、創作的な表現なので、単なる挨拶程度の文章は、著作物には当たりません。

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