企業プロモーション動画(PV)のススメ
企業、特に中小企業や地方企業は、自分たちの企業イメージやブランドのビジョンが一見するだけで伝わる「公式のプロモーション動画(PV)」を制作したほうがよいかもしれません。
プロモーション動画(PV)、と言うと、まず思い浮かべるのは音楽ではないでしょうか。
様々なミュージシャンが、曲を発売するたびに、まるで映画のような美しい映像やおしゃれな演出のプロモーション動画(PV)ないしはミュージックビデオ(MV)と呼ばれる動画をYouTubeで公開します。
音楽のPVというのは、ご存知の通り、曲の一部だけでなく全編を流し、その曲に合わせ、ミュージシャン自身が出演したり俳優さんが演じたりする動画が流れる、という形態になっています。
音楽の世界でPVというのは昔から一般的ですが、企業が発信する動画コンテンツと言うと「テレビCM」があります。
ただ、テレビCMを流すにはテレビ番組のスポンサーになる必要があり、基本的にそれだけの資金がある「大企業」が発信するためのスペースと言えるでしょう。
しかし、現在は、動画制作さえできれば、YouTubeやSNSなどで発信自体は簡単に行うことが可能な時代です。
すでに大手を中心に企業の側も、ブランドイメージや商品、企画関連の動画を数多く制作し、YouTubeやインスタの広告で流したりTwitterで発信しています。
たとえば、この動画は無印良品のYouTube公式チャンネルで発信している「コーヒーメーカー」のプロモーション動画です。
以前なら、その都度特定の商品のためだけにテレビ広告を制作するというのはコストパフォーマンス的に悪かったかもしれませんが、今ではYouTubeという発表の枠自体は無料で手に入れることができるので、動画を活かす場が増えた(多くの人に見てもらうには工夫が必要ですが)ということが言えるでしょう。
著作権的に見る、なぜ企業PVなのか
それでは、一体なぜ企業のプロモーション動画を勧めるのでしょうか。
その大きな理由の一つが、「著作権の意識の高まり」です。
インターネットやSNSの世界がまだ始まったばかりの頃は、それほど著作権の意識は高くなく、良くも悪くも、割とおおらかで自由な環境でした。
それは「しょせん便所の落書き」といったような、アングラな世界のイメージが強かったからかもしれません。
しかし、徐々にネット世界は「裏」ではなく「表」のものとして認識されるようになり、生活の一部になってきました。
ネット通販というのも今ではAmazonを筆頭に普通に行われるものになり、TwitterなどSNSを経由して知らないひとと連絡を取ったり実際に会うことへの抵抗感もだいぶ薄れてきました。
ネットが夜の世界から昼の世界になり、光が当たるようになったぶんだけ、法令遵守の意識も高まってきた、という風にも言えるでしょう。
また同時に、SNSの発達で「誰もが表現者」になったことから、誰もが著作権侵害される(する)経験も増え、当事者性がいっそう強くなったことも、著作権に対する意識や知識の高まりの要因の一つでしょう。
ある意味では、「著作権にうるさくなってきた」時代でもあります。
ところが、著作権というのは、学べば学ぶほど答えのない、グレーの境界線も多い世界です。
基本的には、第三者ではなく著作権侵害された当事者の訴えが必要になりますが、たとえばTwitterに「この本が面白かった」と言って表紙の写真を載せた際、厳密に言えば著作権侵害であっても、著者(あるいはデザイナーや出版社)が、訴えるぞ、とは言わない場合も多いのではないでしょうか。
自分の描いた絵などをTwitterのアイコンにして貰うのは著作権法的に見ればまぁアレなので推奨はしないですけど、気に入って下さっているのねーと個人的には嬉しいです。でもそのアイコンで他人様に「死ね」などと口汚く罵っているのを見かけるととても悲しくなります。
— 遠藤海成@冬コミおつかれさまでした! (@minakichijapon) 2015年4月15日
作者にも様々な考えのひとがいます。
あまり全てのケースに対し、厳密に法律を当てはめていくことで窮屈になれば、文化の発展のための法律によって結果として文化が窒息死してしまう、といった本末転倒の事態になりかねません。
いずれにせよ、二次創作なども含め、著作権者側によってある程度の「黙認」が行われている(違反が多すぎて手が回らない、という場合もあります)のが実状です。
明らかな無断転載や剽窃で相手側に損失を与えるような著作権侵害はもちろん問題ですが、もっとグレーの部分についてどうするか、というのは著作権の今後の課題だと思います。
一方で、今は何か間違えたら大炎上になる時代。
グレーの危ない橋はなるべく渡りたくない、というひとも多いかもしれません。当然、色々なことに及び腰になります。
広告収入を得るブログで、地域の観光スポットの紹介をしたい場合、自分で撮影した写真やフリー素材の画像だけでなく、普段は入れない空間の画像を、(◯◯博物館や、△△温泉の)公式サイトから持ってきたい、という場合があるかもしれません。
その際、写真の著作権者はサイトの責任者や撮影者になるでしょう。
仮に◯◯博物館の公式サイトにある写真を数枚、自分のブログに貼りつけ、もちろん出典は明記するにしても、これが果たして「引用」の条件に当てはまるのかどうか、というのは、内容や構成次第では結構グレーになる可能性もあります(引用の条件に当てはまれば問題ありません)。
感覚的に言えば、その観光スポットの紹介や宣伝になるのだから、公式サイトだし、少々活用しても大目に見てもらえる可能性も高いのではないか、と感じます。
しかし、「厳密に言えば著作権侵害」という場合もあることを考えると、ためらってしまうひとも多いかもしれません(直接メールや電話で許可を得るのも一つですが、十把一絡げに断られるケースも多いと思います)。
こうして結局画像がなかったり、ちょっと未熟な写真しか貼れない、というケースも増えるでしょう。
一方で、もしこういうときに公式サイトが、ある程度自由にブログに埋め込んだり出典さえ明記してくれればSNSで呟いても構わない、というクオリティの高い写真や動画があると、ブロガーさんやSNSの利用者も、またその企業にとってもWin-Winになると思います。
無印良品のように商品ごとのプロモーション動画がなかったとしても、たった一本、深く届く腰が据わったPVがあると、紹介する際にずいぶんと助かりますし、その価値というのは今後ますます高くなっていくような気がします。
これは南部鉄器を扱う地方企業のプロモーション動画です。短いですが、自分たちの伝えたいことが、この企業メッセージと合わせて見るといっそう力強く伝わってきます。
以上、企業のプロモーション動画のススメでした。
以下は、初心者でも分かりやすい、著作権に関するおすすめの書籍です。
デザイナーや写真家、ブロガーなど、フリーランスを始めるのによいでしょう。