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知的財産権

写真やウェブデザインの配置、構図、配色と著作権

写真やウェブデザインの配置、構図、配色と著作権

ツイッターやインスタグラムといったSNS、またウェブサイトやYouTubeなどの普及に加え、iPhoneなどスマホの動画や写真の画質向上によって、誰でも表現者になれる時代が訪れました。

誰でも表現者になれるということは、その公にした表現物には自動的に「著作権」が付与され、誰でも「著作者」になれる、ということでもあります。

著作権と言うと難しく聞こえるかもしれませんが、要は「パクる」「パクられる」という話です。

この「パクリ」については、一つは「無断転載」の問題があります。無断転載とは、著作権者の許可なく勝手にツイッターやブログ、インスタなどで公にすることで、悪質なものだと「自分が撮った」ように見せかける場合もあります。

ただし、インスタやツイッターにアップしたものをブログなどに「埋め込み」機能を使って埋め込むことは著作権侵害にはなりません。SNSは通常シェアが許される文化なので、最初の規定でユーザーは許容して利用することが決まっています(この辺りは恐らく今後も変更されることはないでしょう)。

もう一つの「パクリ」は、参考にしながら配置や構図、配色など、よく似ている作品を発表する場合です。

前者のパクリ(無断転載)は分かりやすい違法行為(実際は、どこまで許容するのが現代のネット社会で息苦しくなく自由に表現が可能か、という境界線の難しさはあります)ですが、後者の「類似性」、似ていると言っても、偶然なのか、また参考の範疇なのか、といった判断も非常に難しい問題です。

この記事では、写真の配置や構図、ウェブデザインの配色など、完全に一緒ではないまでも、「似ている」場合は著作権的に違法なのかどうか、といった点について解説したいと思います。

写真

写真の配置や構図、配色などが似ている場合、著作権侵害に当たるのでしょうか。

過去の判例を紹介したいと思います。

平成12年に、「みずみずしいスイカ写真事件」という不思議な名前のスイカの写真の著作権に関する裁判がありました。

争われたのは、以下の二枚のスイカの写真です。

画像 : 三枝国際特許事務所

この裁判では、両者の写真の類似性が争点になりました。どうでしょう、「パクリ」と言えるでしょうか。

第一審の東京地裁では類似性を否定、著作権侵害ではない、という判断を下しました。しかし、控訴審の東京高裁では、著作権侵害を肯定する判決を下し、著作権侵害と認定、損害賠償請求として100万円の支払いを命じました。

本件写真は、そこに表現されたものから明らかなとおり、屋内に撮影場所を選び、西瓜、篭、氷、青いグラデーション用紙等を組み合わせることにより、人為的に作り出された被写体であるから、被写体の決定自体に独自性を認める余地が十分認められるものである。したがって、撮影時刻、露光、陰影の付け方、レンズの選択、シャッター速度の設定、現像の手法等において工夫を凝らしたことによる創造的な表現部分についてのみならず、被写体の決定における創造的な表現部分についても、本件写真にそのような部分が存在するか、存在するとして、そのような部分において本件写真と被控訴人写真が共通しているか否かをも検討しなければならないことになるものというべきである。

出典 : 「みずみずしいすいか」写真事件:控訴審。

この写真は、スイカのみずみずしさを表現するために、撮影場所やスイカ、カゴ、氷、背景の青いグラデーションの用紙などを組み合わせた、意図的な被写体である以上、そこに独自性があり、著作権も認められる、というのが判決理由です。

この辺りは非常に微妙ですが、類似性の定義は、「既存の著作物の表現形式上の本質的特徴部分を、新しい著作物からも直接感得できる程度に類似しているか?」。

もう少し分かりやすく言うと、「本質的な部分が似ているかどうか」が著作権侵害か否かのポイントになります。

ただ、当時以上にSNSとスマホの普及も相まって誰もが写真で表現できる時代なので、偶然類似する可能性も高く、また見る機会も圧倒的に増加し、無意識のうちに影響を受けている場合も格段に多いでしょう。

そういった点も考慮すると、「類似性」の境界線も、以前より多少は複雑になっているかもしれません(厳しくしすぎるとあちこちで訴訟が溢れかえる可能性があり、萎縮効果を生むことになって表現文化全体にとってマイナスになります)。

ウェブデザイン

それでは、ウェブサイトのデザインに関する著作権はどうなっているのでしょうか。

ウェブサイトは基本二次元なので、デザインに使用されているイラストや写真の他に、レイアウトや配色といった部分が著作物に含まれるかがポイントとなってきます。

まず、誰かのオリジナルのイラストや写真をそのまま許可なく使用していたら、当然著作権侵害になります。類似性については、写真だけでなくイラストも一緒で、本質的な部分が似ているかどうかが争点になります。

無料素材サイトのイラストや写真は使用しても問題ありませんが、ときどき商用は不可、あるいは出典明記などの条件が決められていることもあるので、素材サイトの注意事項をチェックしましょう。

次に、ウェブサイトのレイアウトや配色の著作権はどうでしょう。

レイアウトや配色は、「創作的な表現」ではなく、「アイディアや手法」に該当します。アイディアや手法は、表現するための手段に過ぎず、著作権は認められません。

レイアウトや配色が似ていたとしても、違法ではないということになります。

仮にレイアウトや配色を著作権侵害だとすれば、多くのウェブサイトが違反となって訴訟で溢れ、やはり選択肢が著しく狭まってしまいます。たとえばリンクは青色がクリックされやすいと言いますが、このアイディアに著作権を与えて誰も真似できないとなれば、ずいぶん表現の幅が窮屈になるでしょう。

ただし、有名企業と全く同じレイアウトや配色にすることでその企業との混同を狙うような場合は、他社の知名度や信頼を利用することに繋がり、著作権とは別に不正競争防止法の観点から問題となる可能性があります。

以上、写真およびウェブデザインに関する著作権問題でした。

以下は、初心者でも分かりやすい、著作権に関するおすすめの書籍です。

デザイナーや写真家、ブロガーなど、フリーランスを始めるのによいでしょう。