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「文化の盗用」で炎上、キム・カーダシアン今度は「Kimono(キモノ)」を商標登録

「文化の盗用」で炎上、キム・カーダシアン今度は「kimono(キモノ)」を商標登録

アメリカのモデル、女優でセレブのキム・カーダシアンが下着ブランドの名称を「Kimono(キモノ)」として商標登録(申請中)していることが物議を醸しています。

この問題は、「文化の盗用」や「商標権」など聞き慣れない言葉が話題の中心なので、どういったことが問題なのか難しいかもしれません。

ざっくりとした理解の手助けになればと思うので、ひとつひとつ解説したいと思います。

文化の盗用とは

まず「文化の盗用(cultural appropriation)」というのは、アメリカのような多人種、多民族国家で多い問題で、マイノリティの文化を、マジョリティがまるで自分たちの文化のように発信したりビジネスに活用することです。

たとえば、白人が、黒人のヒップホップ文化やファッションなどを真似て、商品化する、ビジネスとして文化を搾取する、ということが、「文化の盗用」の具体例として挙げられます。

仮に欧米人が日本の文化を活用して、着物を着たり忍者の格好をしていても、もしかしたらそれほど腹立たしくは感じないかもしれません。しかし、白人と黒人の歴史などを考えると、「文化の盗用」と批判したくなる感情も理解できます。

あの時期、白人の若者たちも盛んに黒人のファッションを真似ており、黒人の多くはそれを苦々しく感じていた。自分たちが育んだ文化をまたもや白人が盗んでいると感じていたのだ。

この感情はヒップホップに始まったことではなく、元をたどれば奴隷制に行き着く。北米に初めてアフリカからの黒人が連行されたのは、今からちょうど400年前の1619年だ。以後246年間は奴隷、その後は二級市民として辛酸を嘗めさせられた黒人たちは、それでもこの地に根を張り、文字通り命を賭けて徐々に権利を獲得し、同時に独自のアフリカン・アメリカン文化を育て上げた。

音楽であれ、ファッションであれ、彼らの強いアイデンティティとプライドを礎とする文化が、いったん白人の目に触れると横取りされ、かつ商品化がおこなわれて利益は白人側に流れた。アイデンティティ、プライド、経済利益を揃って奪われてしまうのである。黒人が白人に対し、文化の盗用を訴える理由だ。

出典 : 日本人が知らないアリアナ・グランデ「文化の盗用」批判の背景とは

キム・カーダシアンも、以前、黒人以外の人種にも関わらず黒人文化の一種として考えられているコーンロウの髪型にしたことで、「文化の盗用」という批判を浴び、炎上騒動になりました。

 

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文化は共有の財産という考え方もあるかもしれません。ラーメンやカレーというのも、他国の文化ですが、日本で独自に発展してきたこともあり、あまりに窮屈だと文化の発展に繋がりません。

一方、差別されながらも必死に生み出したり守ってきた自分たちの文化を安易に商用利用されることに憤りが起こるのも当然でしょう。

日本文化を相手にした「文化の盗用」問題では、ファッション誌Vogueの特集でモデルのカーリー・クロスが起こした炎上騒動があり、彼女はのちに謝罪しています。

日本では、別に変でもない、という意見が多かったものの、世界的には批判も多かったようで、やはりその国の文化の意味も理解しないで上っ面だけを商用利用すること、またその利用者(搾取する側)がマジョリティや力の強い側であると、いっそう騒動が大きくなります。

この辺りは、文化や価値観の相違というより、互いの国や人種間の関係性に由来する感情が深く関係していると言えるかもしれません。

Kimonoの商標登録

さて、今回のキム・カーダシアンの「Kimono」については、この「文化の盗用」に輪をかけて、そもそも日本の着物とは全く似ても似つかないこと、また「商標登録」の問題も加わります。

 

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これが女性用下着の「Kimono」です。

ハッシュタグで「Kimono」とつけられているので、世界的にも「Kimono」という認知が進みます。

この「Kimono」、日本の着物とは全く関係ないのかと言うと、インスピレーションを得ているそうです。

キムの新ランジェリーライン発売の指揮を執っている企業によると、このブラントのトレードマークは“着物”となる予定で、日本から得たインスピレーションが盛り込まれているそう。ビスチェやナイトガウン、ブラジャーはもちろん、その他にも胸に張るシールやレオタード、靴下なども発売されるという。

出典 : キム・カーダシアン、なんと「日本の着物」からインスパイアされたランジェリーラインをプロデュース! どんなラインナップになる・・?

他の「文化の盗用」と違うのは、もう完全に「着物」とはかけ離れた存在であること。

そしてもう一つが、「Kimono」で商標登録がされていることです。

アメリカの商標登録がどういった形になるか分かりませんが、もし日本と同様なら、アメリカで「Kimono」という商標を登録者以外が(使用料を払ったり許可なしでは)使うことができなくなります。

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Kimonoという名称と、対象となる商品やサービスの結びつきにもよりますが、多くの分野にまたがって商標登録をしているかもしれません(「Kimono」の商標登録に関する詳細)。

以下は、ツイッター上で挙がっている批判の一部です。

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